有馬温泉、下呂温泉と共に日本三名泉の1つに数えられている草津温泉。
江戸時代に発行された日本最古の温泉番付では既に東の最高位に選ばれており、昔から『恋の病以外ならどんな病気でも治る』と言われ、多くの方に親しまれてきました。
またコロナ禍前の2019年には、過去最高となる年間327万人が草津温泉に訪れています。
まさに日本一の温泉地と言っても過言ではない訳ですが、この草津温泉からまっすぐ南へ行くと、こちらも日本一有名な避暑地と言っても過言ではない軽井沢があります。
そして、この日本一の避暑地である軽井沢と日本一の温泉である草津温泉は、かつて1本の鉄道で繋がっていたことを皆さんはご存じでしょうか?
その鉄道の名は草軽電気鉄道(くさかるでんきてつどう)。
スイスの登山鉄道をお手本として1926年に全面開通したこの鉄道は、新軽井沢駅と草津温泉駅の間の55.5㎞を繋いでいました。
『四千尺高原の遊覧列車』をキャッチフレーズとして高原を走る風景は当時多くの人気を集め、また戦後に制作された国産初のカラー映画となった『カルメン故郷へ帰る』の舞台にも選ばれたのです。
しかし高原に線路を敷くとどうしても路線上に急勾配や急カーブができてしまいます。
その為、スイッチバックなどでゆっくりゆっくりと登っていかなければならず、軽井沢から草津温泉までの所要時間は実に3時間半もかかりました。
その為、1935年に現在のJRバスにあたる省営自動車が開業すると、徐々に観光客は草軽電鉄から離れていきます。
更に、現在のJR吾妻線にあたる国鉄長野原線が1945年に開業すると一層乗客は減り、また戦後の台風被害も追い打ちをかけて利用者は激減。結局1962年2月に廃線となってしまったのです。
現在、その廃線の跡がいくつか残っているものの、当時鉄道に使われていた線路の大部分は自動車道路に変わっています。また湯畑から南に600mほどの所にあった草津温泉駅の跡地には現在その記念碑が建っています。
更に、この鉄道を運営していた会社:草軽交通は現在、軽井沢~草津温泉間の急行バスを運行しており、草軽電鉄のコンセプトを受け継いでいます。
所要時間は76分。鉄道時代の3時間半と比べると大幅に時間短縮されています。
あくまでこれは私の勝手な希望ですが、地方創生の一環として再び軽井沢と草津温泉を観光列車として結ぶことができれば、小さな子ども達をはじめ、たくさんのお客さんが乗ってくれるのではないかと思うのですが、皆さんはいかがでしょうか?難しいとは思いますが・・・
2023年5月30日
M-wave Evening Express 84.5MHz『上毛かるたはカタル』
KING OF JMK代表理事 渡邉 俊