明治・大正時代のキリスト教伝道者として知られる内村鑑三。
どこの教会にも所属せず、ただ聖書に書かれていることのみを信仰する『無教会主義』を提唱した人物であり、その門下生からは多くの教育者や政治家を輩出しました。
この札は、人生をかけて日本国内のキリスト教布教にまい進した内村鑑三を詠んだ札です。
さて突然ですが、皆さんはこの内村鑑三が書いた『代表的日本人』という本を御存知でしょうか?
この本が出版されたのは1908年。当時の日本は鎖国を廃止してわずか50年で日清戦争、日露戦争を勝ち、世界から注目を集めていました。
しかし、西洋の人から見るとまだまだ日本人はどんな民族なのか分からず、偏見も根強く残っていました。その為、鑑三は真の日本人の精神を海外に伝えようと思い、5人の日本人の生き方を英語で紹介したのがこの本です。
そしてその5人とは、西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮の5人。
それぞれの人物が本の中でどのように紹介されているのかはネタバレになってしまうので割愛します。
しかしこの本が多くの欧米の方々に影響を与えたのは事実であり、中でもこの本の大ファンだと公言していたある歴史的な超有名人がいます。
その人の名はアメリカ合衆国第35代大統領:ジョン・F・ケネディ。
彼が大統領に就任した時、日本人の記者から『尊敬する人物は誰か?』と聞かれた際、真っ先に『上杉鷹山』と答えました。
実は上杉鷹山の功績は、戦前の日本の教科書には載っていたのですが、戦後に取り上げられることはありませんでした。その為、その場にいたほとんどの日本人記者たちは上杉鷹山の名前を知らなかったのです。
ではなぜケネディがその名を知っていたのかと言うと、若い頃に内村鑑三の『代表的日本人』を詠み、同じ政治家として深い感銘を受けたから。
米沢藩を治めていた鷹山は領民に対して『我が子』のように接することをモットーとしており、その結果天明の大飢饉で多くの餓死者が出る中、米沢藩からは1人も死亡者を出さなかったことなどが政治家を目指す若きケネディの心を揺さぶったのです。
さて、この『代表的日本人』ですが、今でもAmazonで売っています。何度も言いますが、ここで本の内容をお話するのはやめておきます。
(なぜなら、実は私自身も4年前にAmazonで買ったものの、まだ3分の1くらいしか読んでないからです・・・)
ただ、けやきウォークの紀伊国屋書店でも文庫本が売っているのでは?と思います。
アメリカの大統領も感銘を受けた群馬出身者の名著、是非皆さん一度買って読んでみて下さい!
2022年6月7日
M-wave Evening Express 84.5MHz『上毛かるたはカタル』
KING OF JMK代表理事 渡邉 俊