1783年。
この年の4月から小規模な火山活動を開始していた浅間山は7月8日に大爆発を起こします。これが日本史上最も大きな被害をもたらした噴火の1つである『天明の大噴火』であり、そしてこの日に浅間山から流れ出た溶岩が冷え固まってできたのが現在の『鬼押し出し』です。
さてこの天明の大噴火、当時の資料や言い伝えをたどると途轍もなく恐ろしい噴火であったことが分かります。
その噴火の音は京都や大阪まで届いたと言われており、発生した火砕流は山の北側を猛スピードで流れ、当時人口500人余りであった鎌原村(かんばらむら)を壊滅させました。また軽井沢では大量に降ってきた火山灰や軽石の影響により多く民家が押しつぶされたと言われています。
更に、空高く舞い上がった噴煙が日光を遮断したことで気温が上がらず、噴火から約1ヶ月半がたった8月24日には雪が降ったという記録まで残っています。
この冷害は農業に致命的な打撃を与え、餓死者が20万人とも言われる『天明の大飢饉』を引き起こします。そしてその時の政策の失敗によって民衆の怒りを買ったのが当時幕府で権力を握っていた老中の田沼意次。田沼はこれが原因となって失脚へと追い込まれる訳です。
このように当時の浅間山の大噴火は様々な被害をもたらした訳ですが、実は日本国内のみならず、ある世界的な事件のきっかけになったという研究結果があることを皆さんはご存知でしょうか?
それは・・・『フランス革命』。
イギリスの歴史学者の論文によると、浅間山の噴煙は偏西風に乗ってヨーロッパへも広がったことが分かっています。
その為日光が遮断されてヨーロッパでも冷害が起き、農作物の不作が相次いだのです。
その当時、フランスで権力を握っていたのはルイ16世。その傲慢な政治に国民はかなりの不満を持っていたのですが、そこに農作物の不作が加わったことでその不満は爆発。
これがフランス革命へと突き進んでいくきっかけになったという訳です。
とはいえ、実はこの1783年は浅間山だけではなく、東北地方にある岩木山やアイスランドのラキ火山なども相次いで大噴火を起こした年。
決して浅間山だけがフランス革命の原因とは言えないと思いますが、ただこのように火山の噴火は直接的な災害をもたらすのはもちろん、地球規模での異常気象やその後の歴史にも大きな影響を与えるのです。
忘れてはならないのは、浅間山は今なお活火山だという事。
雄大な山の景色には癒されますが、時には牙をむく存在だと行く事を認識しなければいけないですね。
2022年4月5日
M-wave Evening Express 84.5MHz『上毛かるたはカタル』
KING OF JMK代表理事 渡邉 俊