新型コロナウィルスの影響により昨年(2020年)の桐生八木節祭りは中止となり、また今年(2021年)も規模を大幅に縮小した『一部開催』となることが決定しております。
何とも寂しい限りですが、この『そ』の札はその群馬のソウルミュージック:八木節を詠んだ札です。
この八木節のルーツは・・・と言われるとどうやら諸説あるようでして正確には分かっていないようです。
ただ江戸時代の終わり頃、今の栃木県の八木宿で仕事をしていた女性が何となく口ずさんでいた歌を、馬で荷物を運ぶ”馬方”さんが聴き、樽を叩いて伴奏し始めた事でその原型ができたと言われています。
さらにその馬方の人達は、この歌に笛の音や振付を加えていきました。
そして1914年にはとうとうレコードが発売。この時に歌を担当したのが『堀込源太』さん。当時はイケメンボーカリストとして女性からの人気も高かったと聞いていますが、このレコード発売の際に正式に『八木節』という名前が付けられ、全国にその名が広まっていく事になる訳です。
さて、この”そろいの仕度で八木節音頭”という言葉。
この詠み札だけを聞くと、たくさんの人がお祭りで八木節を踊っている楽しそうな姿しか想像できませんよね。
しかし、この上毛かるたが作られたのは終戦から2年後の1947年であるということをよく考えてみて下さい。
この詠み札を考えたのは上毛かるたの札の裏の解説文を担当した丸山清康さんという方なのですが、
当時の県内の街中は戦争の爪痕がまだまだ鮮明に残っていて生活も厳しく、丸山さんご自身も山村部の農村に和服などを持っていき、農産物と交換してもらう事で飢えをしのいでいたそうです。
その山村部で目にしたのが盆踊りで八木節を踊っている村人達。ひっそりとした山村であるものの、提灯の下で踊る人たちが何とも活気に満ちていて日本復興の始まりを感じる事ができ、この札ができたと言われている訳です。
それから74年経ち、現在新型コロナウィルスの影響で再び八木節が踊れない日々が続いています。
とはいえ、ワクチン接種も進んでいて終息の兆しは見えてきているはず!
来年はまた桐生の街にあの活気が戻ってくる事を祈っております。